「劇場版 機動戦士ガンダムI (砂の十字架編)」の感想・レビュー

劇場版 機動戦士ガンダムI (砂の十字架編)

姫はあやちゃんの言い付けもあって作品を見る際には事前情報を入れないで見ているのですが...この劇場版ガンダムでは珍しくあやちゃんから作品に関する事前情報と注意がありました。それによると、姫の見る機動戦士ガンダムの劇場版は「特別版」であり、劇場公開時のままのものでは無く、キャラクターの声を取り直して、効果音、BGMにも変更が加えられたものらしいです。あやちゃんはこれらを改悪だと感じているようであり、「オリジナルの劇場版とは違うものとして分けて扱うように」と言われました。

機動戦士ガンダムI (砂の十字架編)

「機動戦士ガンダムI」には本当は副題は付けられていないようなのですが、主題歌の「砂の十字架」から「砂の十字架編」と呼ばれているようです。

「機動戦士ガンダムI (砂の十字架編)」はTV版の第一話から第十四話までを纏めた内容になっていました。

TV版と比べると話の順序が入れ替えられていたり(第十三話のアムロのお母さんの話や第十四話の補給シーンを先に入れ、第十二話のランバ・ラルの襲撃とギレン・ザビの演説を最後に回してあります)、内容が変えられていたり、映像やセリフが追加されていたり、同じ映像でもセリフが変えられていたりと色々と手が加えられていました。

TV版の「ガンダム」によくあった「色ミス」や「描きミス」は劇場版でも顕在で、それは新しく追加されたところにもちらほら見られました...。

TV版では「コロニー」と呼んでいたものを劇場版では「スペースコロニー」と呼んでいるところが見られました。こちらが正式な呼び名なのでしょうか。

TV版では左舷(さげん)、右舷(うげん)と言っていたのが劇場版では「ひだりげん」、「みぎげん」になっていました。何か変える必要があったのでしょうか...。

特別版

「特別版」ではキャラクターの声や喋り方の違いがとても気になりました。声優が違う人に変わっていたり、声優が同じでも喋り方が変わっていたり...。声が変わっていたキャラクターの中で特に気になったのはアムロのお母さんとイセリナです。どちらも聞いていて不思議な感じがしました。他には、リードの声が...ドズル・ザビの声に...。ハロから出る音(?)も変わっていました...TV版ではもっと可愛い音だったのですが...残念です。

サイド7~ルナツー

アムロのお父さんの名前はエンディングを見ると「テム」となっていました。TV版では「ティム(第一話)」と「テム(第十三話、第三十三話)」があったのですが、やはり、「テム」が正式な名前なのでしょうか。そうだとすると「ティム」とは何だったのでしょう...。

シャアがスレンダー軍曹の事を「きさま」と呼んでいました。TV版では確か「きみ」と呼んでいたのですが...。

ルナツー前でブライトが少尉になっていました。TV版では地球に降りた後、マチルダから伝えられての昇進だったのですが、TV版よりもかなり早い時期の昇進となっています。

旧ザクは出番がありませんでした。好きなモビルスーツだったのですが...残念です。もう一度あのショルダータックルが見たかったです。

TV版にあったルナツーでの揉め事が劇場版では描かれていませんでした。そのお陰(?)でワッケイン司令が最初から物分りの良い人に見えました...。

TV版とは違い、パオロ艦長は死なずにルナツーに預けられていました。避難民はジャブロー行きに...。

TV版にあったワッケイン司令の台詞、「ジオンとの戦いがまだまだ困難を極めると言う時、我々は学ぶべき人を次々と失って行く、寒い時代だと思わんか...」が、劇場版では「ジオンとの戦いがまだまだ困難を極めると言う時、我々は素人まで動員して行く、寒い時代だとは思わんか...」に変わっていました...。パオロ艦長が死ななかった事で台詞の一部を変えたのだと思いますが、お気に入りの台詞だったので変わってしまったのは残念でした...。

大気圏

大気圏突入前、TV版ではミライだけが飲み物を飲んでいたと記憶しているのですが、劇場版ではブライトも飲み物を飲んでいました...。また、飲み物の入れ物がTV版と比べると宇宙用っぽくなっていました...。飲み物の色も違っているようです。TV版から細かいところが色々と変えられているようです。

ハヤトのパイロットスーツが子供用だと言う事が判明していました...。

大気圏で戦闘を仕掛けようとするシャアの台詞がTV版では「このタイミングで戦闘を仕掛けたと言う事実は古今例が無い」だったのが、劇場版では「このタイミングで戦闘を仕掛けたと言う事実は古今例がないはずである」に変わっていました...。ここでの「はず」は「自分はそのように記憶している」と言う意味で使っているのだろうと思いますが、そうだとすれば、断定していたTV版よりも語気が弱まっていると言えます。

大気圏での戦闘ではガンダムハンマーの出番がありませんでした。もう一度見たかったのですが...。

大気圏での戦闘シーンが大気圏以外の戦闘シーンも混ぜた「寄せ集め」になっていました...。

ガンダムが大気圏に突入した際、TV版では摩擦熱を防ぐために耐熱フィルムを使用していましたが、劇場版ではそれが耐熱フィールドに変わっていました。どう言う理由で変えたのかは分かりませんが、この場面に手を加えるのであれば序に格好の悪い落下シーンも修正しておいて欲しかったです...。

ホワイトベースのブリッジの床に出た地図がTV版の「どこなのか分からない地図」から「北米に見える地図」に変わっていました。

北米

TV版では何度かに渡って行われていたガルマ・ザビの部隊によるホワイトベース隊への襲撃が、劇場版では凝縮され簡単な形に纏められていました。

操縦方法の手引書がテクニカルコントロールマニアルになっていました...それをスラスラと言えるフラウ・ボゥ...。

TV版とは違ってシャアがガルマ・ザビの援護に出ていました...。姫は「助けに出てどうするのだろう?復讐するのでは無かったのか?」と思って見ていたのですが...その後はTV版と同じくきちんと復習を果たしいました。

劇場版ではイセリナによる仇討ちの話はありませんでした。イセリナが死なずに済んだのは良かったのですが...イセリナのその後が気になるところです。きちんと立ち直って生きて行けるのかどうか...。

TV版で時間を割いてやっていたガンダムの空中換装は劇場版では一切描かれていませんでした...。

デギン・ザビは「デギン・ソド・ザビ」と言うようです。

アムロのお母さん

アムロのお母さんはエンディングでは「カマリア・レイ」と言う名前になっていました。TV版では「アムロのお母さん」だったのですが、きちんとした名前があったようです。

TV版ではガンダムが空中換装し、ジオンの前線基地を叩いていた場面が、劇場版ではマチルダのミデアが救出に入っただけで終わっていました。

ミデアの補給

マチルダの会話の中でニュータイプの話が出ていました。TV版と比べるとニュータイプと言う言葉が早い段階で出て来ています。

ブライトはTV版で少尉になったタイミングで中尉になっていました。

TV版では地球に降りたホワイトベースは北米~アジア~ヨーロッパと回って行ったのですが、劇場版では北米~ヨーロッパと進んでいました。TV版とは違い、アジアには寄らないようです。

ランバ・ラル

アムロ・レイとカマリア・レイ(アムロ・レイのお母さん)との再会の場面とマチルダの補給部隊による二度目の補給の場面があってからランバラルの部隊による襲撃がありました。ランバ・ラルはTV版よりも遅れてやって来た事になるのですが、何があっての遅れなのか...気になるところです。

ギレンの演説

ギレン・ザビが行った演説での最後の台詞がTV版の「国民よ立て、悲しみを怒りに変えて、立てよ国民!」から「国民よ立て、悲しみを怒りに変えて、立てよ国民よ!」に変えられていました...。この台詞は気に入っていた台詞だったので変わってしまった事が残念です...。

機動戦士ガンダムI・主題歌 「砂の十字架」

  • 作詞・作曲 : 谷村新司
  • 歌 : やしきたかじん

「機動戦士ガンダムI (砂の十字架編)」の主題歌「砂の十字架」。歌詞も曲調もあまり好みではありませんでした。

歌っている人の名前は「やしきたかじん」との事ですが...これは苗字と名前とはどこで区切るのでしょうか?画面の表示では「き」と「た」の間が少し開いているように見えるので「やしき たかじん」なのでは無いかと思うのですが...。「屋敷田 歌人」では無いですよね...。

劇場版ガンダムI おわりに

TV版のガンダムが好きだった姫にとってはこの「特別版」は余り良い出来では無かったと言えます。

特に残念に思ったのは声の入れ直しが行われていた事です。何故、わざわざそれを行ったのか、行う必要があったのだとすればそれは何なのか...。行うからには何か「受け手側にとっての良い事」があったのでしょうし、そのために行った事だとは思うのですが(ここは「作り手側の自己満足のために行っただけ」とは思いたく無いところです)、残念ながら姫にはそれを感じる事も見付ける事も出来ませんでした。そのため、手間を掛けて悪くしただけのようにしか見えませんでした...。(勿論、それは姫の能力不足のせいであり、見る人が見れば分かるのかも知れませんが...。)あやちゃんが言っていたように姫もこれは(劇場版のオリジナルを見ていなくても)改悪だったのでは無いかと思います。少なくとも姫にとってはそうだと言えます。

効果音も気になりました。画面の画に対して浮いているような感じがし、画に合っていないのでは無いかと...。

内容はTV版の編集であり、よく纏まっていますし、悪くは無いのですが、声や効果音の違いが気になってしまい、全体としては余り楽しむ事が出来ませんでした。余計な事(作り手側としては行いたくて行った事だとは思いますが)をしてしまい持ち味を損なっているように思えます。劇場版のオリジナルはこの記事を書いている時点では未見ですが、恐らく、そちらの方が姫は楽しめるのでは無いかと思いました。

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